部位別のお悩み(股関節の痛み)

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こんな症状はありませんか?

股関節の症状

  • 胡坐をしたときに股関節に痛みがある
  • 慢性的な股関節の痛み
  • 歩行開始時、股関節に痛みが生じる
  • 階段の昇降時、股関節に痛みが生じる
  • スポーツをした後、股関節に痛みが生じる
  • 起立時や靴下を履く時などに、股関節に痛みが生じる

主な股関節の病気

変形性股関節症

変形性股関節症は、関節軟骨の変性・摩耗によって関節破壊が生じる疾患です。原因が不明である一次性と、何らかの疾患に続発して生じる二次性の2つがあります。日本人の場合、80~85%が二次性であり、もともと何らかの既往がある方がほとんどです。変形性股関節症を引き起こす疾患として、股関節の発育が不十分であったり(発育性股関節形成不全)、骨折などの外傷であったり(大腿骨頚部骨折)、関節リウマチであったり、様々なものが挙げられます。
症状は股関節痛がメインとなりますが、大腿前面痛や臀部痛の訴えも少なくないです。変形の初期では歩行時のだるさや運動時の疼痛ですが、病状が進行するにつれて痛みが持続し安静時や夜間時にも強い疼痛が出現します。関節可動域や股関節周囲の筋力も低下、さらには関節破壊により下肢短縮が出現して左右で脚長差が生じます。その結果、歩行異常が出現、それらによって脊椎変形を来し腰痛や背部痛を訴えられる方もおられます。
診察では疼痛箇所や歩行状態を確認します。診断にはレントゲンが有効で股関節の変形を確認します。図に示すように、股関節の関節裂隙(関節の隙間)が狭くなり、重症化すると関節裂隙が消失します。関節周辺に骨棘(変形に伴う余剰な骨)が出現、更に大腿骨頭が変形・破壊が生じます。

治療方法ですが、保存的治療と手術があります。保存的治療は除痛と関節機能の改善・維持が目的です。

①非ステロイド抗炎症薬やトラマドールなどの鎮痛薬
疼痛の一時的な緩和により、生理的な回復力を促す起点となります。これまでは除痛には非ステロイド抗炎症薬がよく使われます。近年では慢性的な疼痛に対してトラマドールという鎮痛薬が処方されることがあり、その効果が期待されます。

②歩行装具
荷重がかかることにより股関節痛が増悪します。そのため杖などの歩行装具を利用することで変形した股関節への荷重を軽減して疼痛を緩和します。体重を軽減することでも同様の効果を得ることができ、体重コントロールが重要になってきます。

③リハビリテーション
変形性股関節症が進行すると股関節の外転筋力低下が生じてきます。外転筋力が低下すると骨盤を安定させることが困難になり歩行異常(Trendelenbrug徴候:トレンデレンブルグ徴候)を来します。股関節周辺の筋力トレーニングを行うことで、歩行・歩容の改善を図ります。

 

以上のような保存的治療を行っています。しかし、保存的治療は変形してしまった関節を変形前に戻しているわけではありません。変形した状態で生活しやすくするため、あるいは変形の進行を遅らせるために行っています。しかし、保存的治療を継続しても症状の増悪や生活に支障をきたすほどの能力低下を認めた場合は手術を行うことがあります。

④手術
保存的治療でも効果が不十分の場合は手術となります。変形した関節を切除して人工関節に置き換えます。

 

以上のように、変形性股関節症は疼痛や歩行障害を来し、更に脊椎変形などを引き起こす恐れがあります。変形の進行を遅らせることで身体や生活の不都合を軽減することができるため、変形初期からの治療が重要になってきます。もし股関節痛などでお悩みの方がありましたら、お気軽にご相談ください。

大腿骨頭壊死症

大腿骨頭壊死症とは、股関節を形成している大腿骨の骨頭と呼ばれる部分が、一部あるいは全てが死んでしまった状態(壊死)になる疾患です。外傷などの原因が判明している症候性と原因不明の特発性の2つに分けることができます。どちらにしても大腿骨の骨頭を維持することができず、骨頭の変形・破壊が生じて変形性股関節症へと進行します。

特発性は原因不明ですが、なりやすい傾向が存在します。1つはアルコール、つまり飲酒される方です。飲酒習慣が長い方、1回で摂取する量が多い方ほど罹患する傾向にあります。もう1つはステロイドを使用されている、あるいは既往がある方です。関節リウマチなど自己免疫疾患への治療など、ステロイドは様々な治療に使用されます。そのような治療歴があると、罹患する傾向にあります。ただ、長期間使用されている方よりは短期間でも大量投与されている方に多いと言われています。

診断ではレントゲンやMRIが良く用いられますが、初期ではMRIによる精査が有効です。

治療方法ですが、保存的治療と手術があります。変形がなく壊死範囲が小さい場合、壊死部が2~3年で修復する可能性があり、荷重コントロールを行って骨頭の変形を予防して回復を期待します。しかし、広範囲の壊死や骨頭の変形・破壊がある場合は手術になることがあります。手術は骨切り術や人工関節置換術などがあり、年齢や能力を考慮して手術方法を選択します。

大腿骨頚部骨折

大腿骨頚部と呼ばれる骨が細くなっているところで骨折します。程度が軽い場合は疼痛も弱く、歩いて受診される方もおられます。

レントゲンによる診断が有効で、Garden分類(ガーデン分類)と呼ばれる4つのタイプに分けて手術方法を選択します。軽症であれば骨折部の癒合が期待できますが、重症の場合は大腿骨頭が壊死してしまう恐れが強いため人工物を挿入する手術(人工骨頭置換術)を行うことになります。

大腿骨転子部骨折

大腿骨頚部のやや下の部分、転子部で骨折します。大腿骨頚部骨折に比べると疼痛が非常に強く、運び込まれることが多いです。大腿骨頚部骨折のときと同様、レントゲンによる診断が有効です。やはり手術が第一選択で、髄内釘という手術がよく行われています。

発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)

股関節は骨盤の臼蓋と大腿骨の骨頭により形成されています。発育性股関節形成不全(DDH)とは、先天的に臼蓋から大腿骨頭が脱臼しているものや、周産期および出生後の発育過程で脱臼が生じてしまう疾患です。この疾患概念には出生前後の股関節脱臼だけでなく、股関節の成長が不十分(臼蓋形成不全)で将来脱臼や亜脱臼する恐れのあるものも含まれています。

症状として開排制限が有名です。開排とは股関節を屈曲・外転させる体位ですが、発育性股関節形成不全では左右の開排角度に差が生じます。更に脱臼している側で下肢の短縮(見かけ上)や大腿部の皺(しわ)の数が多いこと、などが生じます。また、この疾患の頻度は0.1~0.3%で女児に多いと言われています。出生時や3か月検診時に指摘されて受診することが多いです。この疾患を治療せず放置しておくと、30~40歳代と若い世代で変形性股関節症が出現して生活に支障を来します。

股関節脱臼の予防には抱き方が重要な要素となります。股関節の成長は股関節を開排位に保つことが重要で、抱き方は縦抱き(児の股関節を広げるように保護者が前から抱き抱える)が有効です。ただ、新生児などで首が座っておらず安定性が得られないときには注意が必要で、無理は禁物です。

診断は身体所見とレントゲン・MRI・超音波などの画像診断で脱臼や整復阻害因子を確認します。

治療としては牽引などの保存的治療で愛護的に整復を行っていきますが、それでも整復できない場合は手術を行うこともあります。整復が行われた後も安定するまで固定装具を長期にわたって装着する必要があり、治療には長い期間を必要とします。

大腿骨頭すべり症

大腿骨頭すべり症は思春期(10~16歳)に大腿骨近位骨端部で骨端が後下方へすべる疾患です。この疾患は、男児に多く、二次性徴の発達が遅れていることが多いこと、肥満児に多いこと (患児の3/4)が特徴です。また成長ホルモンや性ホルモンとの関連が報告されており、内分泌疾患の精査を行う必要があります。

病型として急性型と慢性型の2つに分けることができ、症状も異なります。急性型では股関節痛を訴えますが、慢性型では疼痛はあるものの異常歩行を訴えることの方が多いです。下肢が外旋しており、股関節を屈曲していくとどんどん外旋していくのが特徴です。

診断ではレントゲンで骨端のすべりを確認することが重要となります。
治療ですが、手術を行うことが多く、すべりの程度や症状に応じて方法が異なってきます。

ペルテス病

ペルテス病は発育期に大腿骨近位骨端部で血流障害による壊死が生じる疾患です。骨壊死部は最終的に修復されますが、その修復過程で大腿骨頭が陥没などの変形を来してします恐れがあります。大腿骨頭が変形してしまうと、将来、変形性股関節症となり生活に支障を来します。
初発症状は股関節痛が多いですが、大腿前面や膝痛のみを訴えることもあります。そのため膝部の診察を行っても異常が見つからず発見が遅れることがあります。発症は3~12歳くらいまでですが、好発年齢は4~8歳で男児に多く、頻度は2万人に1人と言われています。

診断は身体所見や画像検査で行いますが、特にMRIが早期の発見に有効です。MRIで壊死や関節液貯留を確認することができるためです。

治療ですが、骨頭の壊死部が再生されるまで如何にして骨頭の変形を起こさせないかが重要になります。保存的治療は免荷装具療法が用いられ、治療期間も年単位と長期にわたります。変形に至ると手術を行うこともあります。

単純性股関節炎

単純性股関節炎は小児の股関節痛で最も多い疾患です。通常2~4週間程度の安静にて自然治癒するためobservation hipとも呼ばれています。外傷・感染・アレルギーなどの様々な説がありますが、残念ながら原因は不明です。

化膿性股関節炎

股関節に細菌が感染した疾患のことですが、乳児に発症することが多いです。放置しておくと股関節が破壊されます。

症状としては、股関節痛と感染症による発熱です。また股関節は屈曲・外転・外旋していることが多いです。

診断には採血とレントゲンを行いますが、化膿性股関節炎が強く疑われる場合は股関節を穿刺して膿を確認します。

治療は、早期に関節を切開・洗浄を行い、感染を改善するために抗生剤の全身投与が必要となります。感染が改善したとしても、残念ながら将来の変形性股関節症のリスクは高くなってしまいます。

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